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    ■11月22日 auf Reize@大塚Welcome back

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無題

慣れない夜の道を歩く。
初めての街。
灯りは間隔の広い街灯と、窓から漏れるわずかな光。

人々はもうそれぞれの家の中で、暖かい食卓を囲んでいる頃だろう。
小さくても、並ぶお皿が多くなくても、家族が顔をあわせるひととき。
あたたかい、ゆるやかな時間。

他に歩く人が誰もいない道を、進む。
自分の足音だけが、あちこちにぶつかっては跳ね返る。
一人しかいないのに、誰かがいるような。
けれど振り返り、やはり自分は一人でいることを突きつけられる。
大きな不安と、小さな期待。
そんなものは初めからなかったかのように。
また前を向く。歩き始める。


背中の方から風が抜けた。
あちこちから木々の葉がさざめく音がする。
思わず足を止め、身をすくめた。
怖い―そう、怖いと思った。
こんな音を、聞いたことがなかったから。
夜は闇が支配する時間だなんて、考えたことがなかったから。
今にもあの音に、あの闇に覆いつくされてしまうんじゃないかと、
自分は丸ごとあの中に飲み込まれてしまうんじゃないかと、
それはとても怖いことだと思った。
音は鳴り止まない。

いつまでも続く葉の音に、だんだん耳を澄ませてみた。
怖さはなくなりはしない。
けれど、初めて聞いた音に、興味が生まれた。
今度はどんな音がするのだろう。
風はどの木々を、草花を、揺らしていくのだろう。
闇が拡がり、わずかな灯りが浮かび上がらせるゆらめきを
足を止めて見上げた。

たぶん、本当はすぐそばにあったのだろう。
夜を知らず、光の中だけで食卓を囲んでいた時にも。
惜しみなく注がれる愛情の中で過ごしていた時にも。
本当はいつも「そこ」に―「ここ」に、あったのだろう。


歩くことを知って、痛みと共に幸せを覚えた。
この手に触れるものは、決して目に見えるものばかりではないことを知った。


約束された手を振り払ってしまったけれど。


歩き続けよう。
風の名残を追いながら。
光も闇も、この手で触れられるその先まで。

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